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今、ゲームスタジオ(開発制作会社)として都心ではなく、地方都市が注目されている。なかでも福岡ではドラゴンクエストの最新作を制作しているレベルファイブなど3社が共同で人材発掘イベントを開くなど積極的に動いている。
ソフトウェア開発には都心であるメリットはあまりない。特に開発スパンが長く創造的な要素の強いゲーム開発ではなおさらだ。地方都市は東京の半分以下の価格で事務所や住居を借りることができるため、長い時間かけて通勤すること、それ以前に電車を使った通勤すらする必要がない。Q-Gamesは京都に会社を作ったが、会社のメンバーの9割以上は自転車で通勤し、その時間も10分足らずだ。
また、スタッフ全員がかなり近い範囲に住んでいることから、休日一緒に何かをしたり夜飲みに行くこともしばしばある。このようなことができることは些細なことと見逃しそうだが、チームワークを作る重要な要素だと思う。チームワークは作ろうとして作られるものではないし、仕事だけの関係では築いていくのは難しい。
通勤時間が短いという事実にはそんなことも含まれるだろう。
おいしくて安いお昼ごはんにありつけることだって十分メリットだ、東京のオフィス街のご飯は高いかマズイかだ・・・。会社内もスタジオなら自分達のあった環境にカスタマイズしていける。長時間いる空間だからこそ気持ちいい空間にしておきたい。このように食住の充実などライフに直結した部分も京都に来てから随分と向上したように思う。
では、少し視点を変えて運営側からの意見も書いておこう。
会社を設立するときになぜ京都を選んだかはよく質問される。資金の少ない設立時にはランニングコストの削減(事務所家賃)は絶対条件なので地方都市は最初から念頭においてあった。東京で安い物件を探せば、周りに何もないような場所かとんでもない環境で仕事をするしかないだろう。Q-Gamesは京都の中心街から歩いて5分の場所にある。
しかし、地方都市にする上での最大の問題は人材の発掘だ。そこで日本でも有数の学生都市でもある京都を選んだわけだ。京都には京都大学をはじめいくつもの総合大学があるし、古い日本文化を大切にする環境から芸術系の大学も多い。また、海外から優秀なスタッフを呼ぶときでも、事務所が京都ということで興味を持ってもらえることが多々ある。
さらに京都はベンチャービジネスを応援する環境が進んでおり、助成金や開発支援施設なども用意されている。これらはうまく利用することで会社の立ち上げをフォローできる。都市活性化のために各地方都市としても、今後ますます力を入れていってもらいたいと思う。
最後の理由は、パブリッシャ(発売元)から物理的な距離を保つことだ。ゲームの制作現場はパブリッシャから距離を置いたほうがいい。パブリッシャ内の制作部門のような大所帯の中では個性も責任も薄れてしまう。そして、ビジネスの力に引っ張られて、コンサバティブな制作しかできなくなってしまう。これは本人の意志の問題ではない。社内の空気は自然と伝染するのだ。物理的な距離を置くことで、制作現場を自分達でコントロールできる。もちろん、個々に掛かる責任も大きくなるが、その緊張感は持ったほうがいい。
そして、業界不況下の今こそゲーム開発の環境を変えるときなのだと思う。このニュースが何より重要なのはゲームパブリッシャ(発売元)ではなくゲームデベロッパ(制作元)が注目され始めていることにある。海外では当たり前だったが、日本ではデベロッパを意識することはまるでなかった。
それが今こうして注目され始めているのには、マイクロソフトのゲーム業界参入が一役買っているのかもしれない。レベルファイブもダーククラウドやダーククロニクルをSCEで制作したときには下請けとしての扱いだった。しかし、外資系ゲームパブリッシャであるマイクロソフトは各デベロッパを海外と同じように扱った。レベルファイブがそれなりの知名度を持ったのはマイクロソフトでTFLOを制作してからだと思う。さらに、ドラゴンクエストで自社のブランドを確固たるものにできたが、これはマイクロソフトでの制作があってのことであろう。今後ますますデベロッパが注目されるようになれば、デベロッパがブランドとしてユーザーにも認識され始めることになるからだ。
デベロッパがブランド力を持つことこそが今のゲーム業界のマイナスのスパイラルを抜ける力になると私は考えている。ブランド力を持たなければ発言権がなく、下請けとしてゲームを作るしかない。しかし、ブランド力があればデベロッパがオリジナルのゲームにチャレンジできる。フットワークが軽く自分達の責任で作られるゲームには、各スタジオごとのオリジナリティを出せることだろう。もし、失われつつあるゲームの個性を取り戻すチャレンジをしたいなら、環境を変えることから始められる。不況下の下、どんどんコンサバティブになる現場にあきらめるより、動いてみてほしい。私達も新しく参入するゲームスタジオが下請けではなくオリジナルのゲームにチャレンジできるような業界になるように、先陣を切っている各社ともども努力していこうと思う。
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